島…君をレンタルしたいカナ
甘々じゃないけど
「ほぉ〜、進展したね〜」


パート仲間の奈緒は感心したように呟く。
私はそれに「うん!」と元気のいい声を出して、「またねと言われた時は嬉しかった♡」と答えた。


「なんか初々しい中学生みたい」


奈緒は笑いながらそう言い、何を思ったのか自分もそのペットハウスへ行こうかな…と言いだした。


「カナに合う人かどうか調べてあげる」

「結構です」


速攻に断り仕事に入った。
上がる前に就職情報誌を買えば、奈緒が目を丸くして。


「どうしたの!?仕事探すの!?」


と、大袈裟に驚く。


「うん、お母さんに迷惑をかけたくないと思うから。それに、自分のことは自分で賄いたいと思うし」


次の休みには職安に行こうとも思ってる。リクルートスーツは大学時代のが入ればいいかなって考えた。


「カナが書店辞めたら面白くないなぁ。私も正社員の仕事探そうかなぁ」


「よく言うよ。いつでも仕事あるじゃん。お父さんの店で働きなよ」


スーパーの店長をしてる奈緒のお父さんの話を思い出した。
優しそうな人で父親が生きてるっていいなぁ…と思ったんだ。


「パパの店で働くなんて嫌よ。こき使われそうだもん」


「だったらパートで頑張って。そもそも今の彼とはどうせ結婚するんでしょ」


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