島…君をレンタルしたいカナ
「こっちにおいで。見せてあげる」


カウンターの中へ入るよう勧められ、おずおずしながら進んで行く。

昨日彼がチョロを診た部屋では、同じように鳥の鳴き声とカサカサと動き回る小動物の物音がしていた。



「ほら、ご覧」


視界の前を開けられ、ケージの中を彼の掌が指し示す。
少し近寄って膝を折ると、チョロが元気よく動き回ってるのが見えた。


「今朝店に来たらもう目覚めてて。ガサガサといつも以上に動き回ってたよ」


その声を聞きながら「良かった」と囁くのが精一杯。
また涙が滲んできて、その目尻を指で拭った。



「えーと、大崎さん…」


島店長さんの声が聞こえ、涙を拭いながら「はい」と振り返った。
困った様な笑みを見せる彼に、ドキッと胸が弾む。


「レンタル料の返却をしないといけないんだけど、ケージとかいつか持って来れる?何だったらこっちが今日取りに伺ってもいいよ」


そうだ。チョロはもう家では飼えないんだ。
あんな寒い部屋で飼ったりしてたら、また冬眠に入ってしまうもん。


軽くショックを受けてた。
折角母や賢太が喜んで三人共通の楽しみが出来てたのに。



「…どうかしたの?」


ぼんやりとしたまま私が考え込んでたからかな。彼が目の前に顔を覗かせ、ん?と首を傾げた。


< 83 / 157 >

この作品をシェア

pagetop