島…君をレンタルしたいカナ
「冬眠!?ペットのシマリスも冬眠なんてするのか!?」


ガチャガチャ喧しい弟だ。
後ろで会話を聞いてる島さんも少し苦笑してる。


「そういうワケでレンタルは中止になったの。今日はケージを引き取りに来てくれて」


「なんだー、そっかぁ。つまんねーな」


大きな体のクセに小学生みたいに残念がる。
賢太だけじゃなく、母も昨日その話を聞いて残念がってた。


部屋に入り、ケージの中の床材の紙を掃除してたら、島さんは楽しそうに「いい家族だね」と話しかけてきた。


「そうですか?ウルサイ弟と母が一人いるだけですよ」


「お父さんは?」


「父は亡くなったんです。私が高校二年生の時にガンで」


アッサリした感じで教えたのに、彼は何か気まずい事でも聞いたみたいな顔つきに変わった。


「ごめん、無神経なこと聞いて」


「いえ、そんなことないですよ。ただ私たち家族全員お父さんがスゴく好きだったから、亡くなってからこっち、皆で会話することも減っていて。…だからチョロが来てくれて良かったんです。三人共通の話題が出来て皆でチョロのお世話もして…」


楽しかったです…と言えば、幾らか表情も柔らかくなる。

その顔を見てるとこっちも少し気が緩んで、「でも…」とチョロが動かなくなった時のことを思い出した。


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