島…君をレンタルしたいカナ
「俺が言いたいのは、どうしてそんな振られ方した後でもそいつと付き合ってた頃と同じ店で働けるんだってこと。
だって考えたら悔しくない?そいつとの思い出が詰まってる場所な訳でしょう、其処は」


「え…ま、そうですけど…」


何だか必要以上に凄まれてるような気がする。
不機嫌な顔をされてもイヤなんだけどな。


「俺が君の立場だったらソッコーでその店は辞めるな。正社員なら兎も角、パートならいつ辞めても店も困らないだろうし」


何だか今の言葉は傷つくな。
確かに私はしがないパートだけど、何も知らない彼にそこまで言われる筋合いもないと言うか。

第一いつ辞めてもいいとか思われたくないし、私は私なりに頑張ってるし、都合というものもあってーー。



「…で?その店でまだ働くつもり?」


ケージを畳み終えて本格的に向き合った。
目の前に座ってる彼は拳をぎゅっと握りしめてる。


なんか雰囲気が怖い。
意外に怖い性格の人だったのかなぁ。


「…いえ、実はもう一度きちんと正社員になれる仕事を探そうかと思ってて」


通勤用のバッグから就職情報誌を取り出して見せた。
次の休みの日には職安へも行こうと思うと話した。


「今更だけど、もう一回頑張ろうかなって」


チョロや島店長さんに会えたからヤル気が湧いたとは言わずに少しだけ照れ笑いをした。

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