島…君をレンタルしたいカナ
それを聞いた彼の表情もなんとなく柔らかくなり、「何だ、そっか…」と気の抜けた様な声が聞こえた。


「…ごめん。俺の言い方きつかったよね」


さっきの感じとは真逆な様子で謝る。
雲泥の差ほど有りそうなくらいコロッと態度が変わり、私は唖然と彼を見てしまった。


リアルな彼は何だか面白い人だ。
見てると何処か飽きないかも……。


笑いを堪えてマジマジと見つめてしまった。
目の前の人も少し笑いを含んでるみたい。


ああ、いいな。こういう雰囲気。
胸の中がホッとして落ち着くと言うか和む。

チョロが部屋に居た時と似てる。
リスが人間に変わったくらい。



「……大崎さん」


店長さんの呼び掛けにハッと我に戻った。
うっかり妄想しそうになってた…と焦り、「何ですか!?」と慌てて声を上げた。


「いや、そう構えられると話しにくいんだけど…」


別に構えてるつもりはなく、ちょっとこのタイミングで呼ばれたから驚き半分だったワケで。


「あのさ……」


真顔の彼が少し自分の方に寄って来る。
膝同士がぶつかり合いそうなくらい近寄る彼を前に、弾けそうなくらい胸が大きく鳴った。



「あの……」


言い出しにくそうな彼をじっと上目遣いで見てた。
付き合おうとか言ってくれるワケないけど期待した。



「姉ちゃん、お母さんが鍋を一緒にどうかって……」


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