島…君をレンタルしたいカナ
ノックもなしに開いたドアにビクッと肩が上がる。
振り向くと賢太が側に立ってて、バツの悪そうな眼差しを向けてた。



「…何?」


おのれ賢太、ここぞという時にドアを開けて~~!


「いや、ゴメン。続きをどうぞ」


…つってもできるか!第一そんなラブラブな感じでもなかったよ!


「いいから何?お鍋がどうしたの?」


私から少し離れる島さんの雰囲気を感じながら賢太を睨んだ。
賢太は笑って誤魔化しながら母が言った言葉を口にした。


「店長さんも一緒にお鍋を食べませんか?って。シマリスのこともお詫びしたいからって」


どうですか?と聞かれ、彼は少し弱る。
急だしね…と、断られてもムリないかと思った。


「……お邪魔でなければ一緒してもいいですか?うちにも連絡しておきます」


振り返ると彼が嬉しそうに笑う。
こんな時にその笑顔、マジでステキ~~♡

お母さんありがとう。
いや、チョロにお礼を言うべきかな。


単純だな…と自分を呆れつつもやっぱり必要以上に頬が緩む。


昨日が雪で良かった。
今夜が鍋で嬉しい。


作るの手伝おうか…と言えば、賢太は「吹雪になるから止めろよ」と言い出す。

それよりもさっきの続きでもしてれば?と言って、お邪魔でした…と笑って逃げた。


「んも~!」


何というデリカシーの欠片もない弟だ。

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