島…君をレンタルしたいカナ
こっちの気も知らないで…と思いながら振り向けば、島さんが楽しそうに笑ってる。
この部屋で男の人が笑う声を聞くなんて、かなり久し振りのことだ。



「面白い弟さんだね」


一頻り笑った後で島さんはそう感想を述べた。


「単にウルサイんですよ。それにちょっと早とちりで」


「早とちり?」


「だって、多分何か勘違いしてるんてすよ。私と島さんのことを」


「どんな風に?」


「…えっ?それは…」


彼と私が付き合ってるとかそんな風に…なんて、思ってても口に出せる筈もなくーー。



かぁーと顔が熱くなって俯いた。
彼の顔を見るのも憚られ、知らん顔を決め込もうとしたら…



「さっきの続きを言ってもいい?……カナちゃん、俺と付き合わない?」


カナちゃん…と呼ぶ声が頭の上から聞こえて顔を上げると、島さんがこっちを見下ろしてる。



「君みたいな子が他の男に騙されるのを見たくないから、俺が君のことを守るよ」


それは父親みたいな感覚で?
それとも、普通にカレシとして?


「いい?」


ぎゅっと手を握られた。
意外にもオオカミみたいな彼に、胸が大きく弾んだ。



「……は、はい!」


願ったり叶ったりです!とは言わなかったけど、私の返事には思いきり力が籠ってる。


「可愛いね、カナちゃん」


ちゃんは要りませーん!
でも、やっぱり付けといて♡


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