硝子玉
「……聞き、ました」

「じゃあなにしにきたの?」

私にむけられる硝子玉。
やっぱりそこに私は映っているけれど、翠さんには見えてなくて。

……私は。
翠さんにちゃんと私を見て欲しい。

「私、は」

「なに?」

私の手が、翠さんに向かって伸びる。
押し倒すと襟を掴んで引き寄せ、強引に唇を重ねた。
唇が離れると、硝子玉が見上げてた。

「……私、は。
翠さんが好き、だから」

ぽたり、ぽたりと翠さんの眼鏡の上に滴が落ちると、硝子玉が揺らいでるように見える。

「あなたの家族になってあげてもいい、です」

……ああ。
なんなんだろ。
いきなり逆プロポーズみたいだよ。
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