硝子玉
いままでもたまに来ないことはあったものの、二日連続で姿を見せないなんてことはなかった。

……あれかなー。
やっぱり、私に会いたくない、とか。

「あのー、店長。
……翠さん、は?」

洗い物をしながら恐る恐る店長に聞いてみた。

ちなみに、翠さんは店長と同じマンションの違う階に住んでいる。

「ああ、翠?あいつ、熱出して寝込んでるよ」

「……そうですか」

……私の考えすぎ、だったのかな。
でも熱って大丈夫なのかな。
翠さん、ひとり暮らしのはずだし。

「なに?
夏帆ちゃん、あいつがいないと淋しいの?」

「ち、違います!
からかってくる人がいないと、なんか調子が狂うっていうか」

「ふーん。……あ、そうだ。
悪いけど帰り、翠に夕飯届けてくれない?
今日夜、予約入っててさ」
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