硝子玉
お皿に再度シチューをよそい、渡す。

……なんかこうしてみると、可愛いなー。
あ、いや、八つも年上の、しかも私よりずっと背の高い男性にあれだけど。

「なに笑ってんの?」

「いえ、なんでもないです」

再びお皿を空にした翠さんは、にやけていたであろう私にちょっと不機嫌そう。

「ま、いいけど。
……で。
どんな理由があろうと男の部屋に入るなんて、不用心だと思わない?」

「え、え、えっ?」

……なにがどうしてこうなったんだか。

気が付いたら私はソファーに押し倒されていた。
パニックになって見上げると、翠さんが眼鏡を外してにやりと笑う。

「仕方ないよね、悪いのは君の方だし」

「あの、えっと、えっ、」

「何度も云ったよね、俺は最低な人間だ、って」

上から見つめる、翠さんの目。
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