差し伸べた手
家に到着し直は懐かしそうにリビングを見回す。
「パソコン、置いておいてくれたんだ」
「当たり前でしょ」
もう二度と戻ってこないと思っていたがとても処分は出来なかったから置いておいたのだ。
直がここにいたのだという夢のような出来事を唯一現実として実感できるものだった。
直は亜子の前にまっすぐ立ち優しく抱きしめ、じっと瞳を見つめた後、キスをした。
「亜子、僕は前の僕とは違うんだ。亜子と出会ったときの僕は欲しい物も欲しいとは言えない人間だった。でも今は違う。亜子が欲しい」
二人は奥のベッドルームに雪崩れ込むように入っていき亜子の上に直が重なりベッドに倒れ込む。
「あの時の僕には何の覚悟も出来ていなかった。仕事にも亜子にも。そんな気持ちで亜子を求めるなんて出来なかった。でも東京に帰って仕事への覚悟も出来て自分のやりたいこと、手に入れたい物、大切にしたい物、全てに対して自分の気持ちに正直に生きようと誓ったんだ。中途半端だった自分に自信が持てるように懸命に生きてきた。そして今の自分なら恥ずかしくないと思い亜子に会いに来たんだ。あの時、亜子が僕に差し伸べてくれた手、一生忘れない」
二人は自然と求め合い離れた時間を埋めるように抱き合った。
いつの間にか眠ってしまった亜子は夢なのか現実なのかわからず思わず
「直」と叫んでしまった。
「亜子、僕はここにいるよ。もうどこへも行かない。苦しい思いをさせてごめん」
優しく亜子の頭を撫でる。
「直、良かった。いたのね。もっと実感させて」
二人は再び抱き合った。
「パソコン、置いておいてくれたんだ」
「当たり前でしょ」
もう二度と戻ってこないと思っていたがとても処分は出来なかったから置いておいたのだ。
直がここにいたのだという夢のような出来事を唯一現実として実感できるものだった。
直は亜子の前にまっすぐ立ち優しく抱きしめ、じっと瞳を見つめた後、キスをした。
「亜子、僕は前の僕とは違うんだ。亜子と出会ったときの僕は欲しい物も欲しいとは言えない人間だった。でも今は違う。亜子が欲しい」
二人は奥のベッドルームに雪崩れ込むように入っていき亜子の上に直が重なりベッドに倒れ込む。
「あの時の僕には何の覚悟も出来ていなかった。仕事にも亜子にも。そんな気持ちで亜子を求めるなんて出来なかった。でも東京に帰って仕事への覚悟も出来て自分のやりたいこと、手に入れたい物、大切にしたい物、全てに対して自分の気持ちに正直に生きようと誓ったんだ。中途半端だった自分に自信が持てるように懸命に生きてきた。そして今の自分なら恥ずかしくないと思い亜子に会いに来たんだ。あの時、亜子が僕に差し伸べてくれた手、一生忘れない」
二人は自然と求め合い離れた時間を埋めるように抱き合った。
いつの間にか眠ってしまった亜子は夢なのか現実なのかわからず思わず
「直」と叫んでしまった。
「亜子、僕はここにいるよ。もうどこへも行かない。苦しい思いをさせてごめん」
優しく亜子の頭を撫でる。
「直、良かった。いたのね。もっと実感させて」
二人は再び抱き合った。