差し伸べた手
二人は裸足でデッキに並んで座る。
「四人分のスイーツ、責任持って食べてよね」
「わかりました」と少年のような笑顔を見せる。
直は美味しそうにスイーツを頬張る。
「あっ」と言って直は思い出したようにリビングへ行き池沢ひろしの写真集をカバンから取り出す。
デッキに戻ってきて亜子に本を渡して目的のページを見せる。
そこには亜子のラベンダー畑がのっていた。
直がここに居るときにはまだここまでラベンダーの数は多くはなかった。
しかし店長に見せたい一心でその後大切に育て上げ、見事なラベンダー畑にしたのだった。
「池沢さんが撮ってくれたのよ」
「うん。これを見て驚いたよ。亜子が凄く手を掛けて育てていたよね。この写真を見てすぐに亜子のラベンダー畑だってわかった。僕の人生はこの写真集で変わったんだ」と言い、初めて買った写真集を亜子に見せる。
「この写真集に載っているあの丘に来なければ亜子に会う事はなかったかも知れない。だからこの写真集には感謝しているんだ。この写真集が僕に亜子を導かせてくれたんだ。二度もね」
「二度?」
「そう、一度目はあの丘に行ったことで亜子に出会えた、二度目はラベンダー畑に亜子のメッセージを見つけた」
「メッセージ?」
「そう。あなたを待っていますっていうメッセージ」
池沢の写真集でこのラベンダー畑のタイトルが「あなたを待っています」になっていたのだ。
「え?ごめんなさい。あれは違うの。あれは会社の店長が・・・」
という言葉を遮り
「違ってもいいさ。僕がそう受け取ったんだからそれで充分だろ?」
「とにかく、この写真集が僕たちを繋げたって事実は確かだし」
「ちょっと待ってて」と言って今度は亜子がリビングに掛けていく。
その手には同じ写真集を持っている。そして自慢げに写真集を開いて
「私のはサイン入りよ」
「あ、いいなー」
楽しそうな会話が響き渡る。
直は月の半分を北海道で過ごしている。
東京の仕事や家族そして亜子、亜子の北海道での生活、全て大切にする為の最善の方法だった。
「社長である自分自身が好きな時間に好きな場所で働かなきゃ説得力がないからね」
直は亜子に笑顔で言った。
END
「四人分のスイーツ、責任持って食べてよね」
「わかりました」と少年のような笑顔を見せる。
直は美味しそうにスイーツを頬張る。
「あっ」と言って直は思い出したようにリビングへ行き池沢ひろしの写真集をカバンから取り出す。
デッキに戻ってきて亜子に本を渡して目的のページを見せる。
そこには亜子のラベンダー畑がのっていた。
直がここに居るときにはまだここまでラベンダーの数は多くはなかった。
しかし店長に見せたい一心でその後大切に育て上げ、見事なラベンダー畑にしたのだった。
「池沢さんが撮ってくれたのよ」
「うん。これを見て驚いたよ。亜子が凄く手を掛けて育てていたよね。この写真を見てすぐに亜子のラベンダー畑だってわかった。僕の人生はこの写真集で変わったんだ」と言い、初めて買った写真集を亜子に見せる。
「この写真集に載っているあの丘に来なければ亜子に会う事はなかったかも知れない。だからこの写真集には感謝しているんだ。この写真集が僕に亜子を導かせてくれたんだ。二度もね」
「二度?」
「そう、一度目はあの丘に行ったことで亜子に出会えた、二度目はラベンダー畑に亜子のメッセージを見つけた」
「メッセージ?」
「そう。あなたを待っていますっていうメッセージ」
池沢の写真集でこのラベンダー畑のタイトルが「あなたを待っています」になっていたのだ。
「え?ごめんなさい。あれは違うの。あれは会社の店長が・・・」
という言葉を遮り
「違ってもいいさ。僕がそう受け取ったんだからそれで充分だろ?」
「とにかく、この写真集が僕たちを繋げたって事実は確かだし」
「ちょっと待ってて」と言って今度は亜子がリビングに掛けていく。
その手には同じ写真集を持っている。そして自慢げに写真集を開いて
「私のはサイン入りよ」
「あ、いいなー」
楽しそうな会話が響き渡る。
直は月の半分を北海道で過ごしている。
東京の仕事や家族そして亜子、亜子の北海道での生活、全て大切にする為の最善の方法だった。
「社長である自分自身が好きな時間に好きな場所で働かなきゃ説得力がないからね」
直は亜子に笑顔で言った。
END