嫌い、嫌い、好き。
きっと奥さんと何かあったんだろうな…。
「臭い。てか学校で吸っちゃダメじゃん」
「ま、大丈夫だろ」
和希はこちらをチラリと見て、適当に笑みを浮かべる。
またこれだ。
和希は誤魔化すときにこういう笑みを浮かべる。
あたしはこれが大っ嫌いだ。
でもあたしは和希に深入りしていい関係じゃない。
あたし達はお互いに厚く、硬い壁をつくっている。
「…というか!」
話題を変える為にわざとらしく大きな声を出す。
「なっ、なんだよ」
和希は突然の大声に少しだけ怯んでいるみたいだ。
「数学の時間、和希わざとあたしを当てたでしょ!?」