そのとき、君の隣で笑うのは
プロローグ
2コ下のあいつとは家が向かい同士で小さい頃から知っている、いわゆる幼馴染みってやつで。
あの頃は、毎日のようにあいつの家に遊びに行ってた。
何をして遊んだかなんて、イマイチよく覚えてないけど、とにかく楽しくて。
当たり前のように一緒に居たんだ。
「おおきくなったらオレがおヨメさんにもらってあげるね!」
“いいよ”なんて一度も言ったことないのに、懲りもせず会う度に言われて。
「ぜったいゼッタイやくそくだよ!」
あの時は天狗になってたわたしでも、中学に上がるといわゆる思春期ってやつで。
周りが色めき立ってる中、
小学生に付き纏われてるなんて恥ずかしくて。
「しうみちゃん!あそぼ!」
いつもの日常が鬱陶しくて
「………」
無視から始まり、あいつを避けるようになる頃には会う事も無くなって。
手離したのはわたしだ。
“ぜったい”って言ったのに!なんて、
そんな自分勝手で都合のいいことを言う権利なんかなくて。
「あれ?紫海ちゃん久しぶり」
あいつの隣に寄り添っているのはわたしじゃない女の子で。
手離したのはわたしだ。
子供染みた感情のせいで。
後悔しても、もう遅い。
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