そのとき、君の隣で笑うのは
第2話 甘い時間と甘い匂い-side kagari
オレのライバルは、いつだって香黄だった。
大好きな紫海は香黄が大好きで。
だからいつも、彼女の一番になりたくて必死だった。
「えがじょうずなひとがすき!」
紫海がそう言うから、オレはいつも絵を描いて気を引きたくて。
だけど香黄には適わなかった。
美大まで行くほど、才能に溢れた人だった。
今思えば、香黄が描くから絵が好きだと言ったのかもしれない。
でもあの時のオレはとにかく紫海の気を惹きたくて、
“おおきくなったらオレがおよめさんにもらってあげるね!”
頼まれてもいないのに、刷り込むように何度も紫海に言ったんだ。
まだまだガキだったオレは“およめさんになって”なんて恥ずかしくて言えなくて。
いつも上からで、彼女の呆れた顔を今でも覚えてる。
それでも、一緒に居てくれる、そんな時間が大好きだった。
だけど、
いつしかオレのライバルは香黄ではなくなっていたんだ。
紫海は知らない男子と楽しそうに手を繋いで歩いていて。
見たことのない、オレ以外に向けた照れた笑顔が焼き付いて離れない。
あの時の焦燥感は今でも忘れはしない。
大好きな紫海は香黄が大好きで。
だからいつも、彼女の一番になりたくて必死だった。
「えがじょうずなひとがすき!」
紫海がそう言うから、オレはいつも絵を描いて気を引きたくて。
だけど香黄には適わなかった。
美大まで行くほど、才能に溢れた人だった。
今思えば、香黄が描くから絵が好きだと言ったのかもしれない。
でもあの時のオレはとにかく紫海の気を惹きたくて、
“おおきくなったらオレがおよめさんにもらってあげるね!”
頼まれてもいないのに、刷り込むように何度も紫海に言ったんだ。
まだまだガキだったオレは“およめさんになって”なんて恥ずかしくて言えなくて。
いつも上からで、彼女の呆れた顔を今でも覚えてる。
それでも、一緒に居てくれる、そんな時間が大好きだった。
だけど、
いつしかオレのライバルは香黄ではなくなっていたんだ。
紫海は知らない男子と楽しそうに手を繋いで歩いていて。
見たことのない、オレ以外に向けた照れた笑顔が焼き付いて離れない。
あの時の焦燥感は今でも忘れはしない。