ピュア・ラブ2 ~それからの~
5
あれから5年……。
「茜、無理しないで座って」
「橘君、大丈夫よ。これくらいはいい運動」
あれから私たちは、何度も話し合い、泣き、ケンカもたくさんした。
怖くて答えが出せなかった私に、両手を広げて、
「飛び込んでみてごらん。受け止められるから。何もかも全部」
と、橘君が言った。
飛び込んでしまえば、こんな小さな勇気で済んだのかと、深く考えすぎていた自分が、バカみたいだと彼に言った。
「恥ずかしい言葉が良く言えたものだ」
「そんなことないわ、とっても嬉しかったの」
私が自分の意見を通し、我儘を言ったのは、あれが初めてだったのかもしれない。自分でもびっくりするほど、頑固で、我儘だと思った。
それでも離れられなかったのは、橘君が大好きで、傍にいたかったからだ。
今、私のお腹には三人目の子供が宿っている。
暖かく見守ってくれた橘君と結婚をして、「橘 茜」になった。
「短くていい名前」とみんなで笑った。
「橘動物病院」は、元々建っていた場所の隣の敷地を買い、大きく建て直しをした。
家は別にする、と言う橘君の意見を反対して、彼のご両親と同居を申し出たのは私だ。
家族会議では、病院の上を住居にする予定が当初からあり、二世帯住宅にするという橘君の意見が取り入れられ、一階は診察室、二階に手術室、病室、看護ケアなどが出来る部屋を設け、三階に両親、4階に私たちの住居が出来た。
設計の段階になり、橘君の弟が「自分も住みたい」と言い出し、家族全員で頑張るという、決断のもと、もう一階付け加え、5階建てのビルに大きく変貌した。
「うわあ、借金だらけだ」
と、皆で笑いながら無事に完成を迎えた。
私は、少しでも助けになるならと、動物介護士など、いろいろな動物と病院経営に関する勉強をした。
「また見てるの?」
「うん」
キャビネットには、私の大切な家族の写真が沢山飾ってある。
結婚をして知ったことは、こんなにやりたかったこと、やってほしかったことがあったのだと、知らない自分を見つけたことだ。
年間を子供と共に過ごすと、たくさんの歳時がある。そのどれも大切なものだ。
その写真を入れ替えたり、新しい写真立てに変えたりするのが、私の楽しみだ。
「今も綺麗だけど、このときはものすごく綺麗だった」
「もう、やめて。恥ずかしいわ」
「愛してるよ」
橘君は、結婚した今も、私に愛の言葉を惜しみなく送ってくれる。
それは誰がいようともやめないので、とても恥ずかしい。
「もう一度、着てもらいたいくらいだ」
「いやよ」
「茜、無理しないで座って」
「橘君、大丈夫よ。これくらいはいい運動」
あれから私たちは、何度も話し合い、泣き、ケンカもたくさんした。
怖くて答えが出せなかった私に、両手を広げて、
「飛び込んでみてごらん。受け止められるから。何もかも全部」
と、橘君が言った。
飛び込んでしまえば、こんな小さな勇気で済んだのかと、深く考えすぎていた自分が、バカみたいだと彼に言った。
「恥ずかしい言葉が良く言えたものだ」
「そんなことないわ、とっても嬉しかったの」
私が自分の意見を通し、我儘を言ったのは、あれが初めてだったのかもしれない。自分でもびっくりするほど、頑固で、我儘だと思った。
それでも離れられなかったのは、橘君が大好きで、傍にいたかったからだ。
今、私のお腹には三人目の子供が宿っている。
暖かく見守ってくれた橘君と結婚をして、「橘 茜」になった。
「短くていい名前」とみんなで笑った。
「橘動物病院」は、元々建っていた場所の隣の敷地を買い、大きく建て直しをした。
家は別にする、と言う橘君の意見を反対して、彼のご両親と同居を申し出たのは私だ。
家族会議では、病院の上を住居にする予定が当初からあり、二世帯住宅にするという橘君の意見が取り入れられ、一階は診察室、二階に手術室、病室、看護ケアなどが出来る部屋を設け、三階に両親、4階に私たちの住居が出来た。
設計の段階になり、橘君の弟が「自分も住みたい」と言い出し、家族全員で頑張るという、決断のもと、もう一階付け加え、5階建てのビルに大きく変貌した。
「うわあ、借金だらけだ」
と、皆で笑いながら無事に完成を迎えた。
私は、少しでも助けになるならと、動物介護士など、いろいろな動物と病院経営に関する勉強をした。
「また見てるの?」
「うん」
キャビネットには、私の大切な家族の写真が沢山飾ってある。
結婚をして知ったことは、こんなにやりたかったこと、やってほしかったことがあったのだと、知らない自分を見つけたことだ。
年間を子供と共に過ごすと、たくさんの歳時がある。そのどれも大切なものだ。
その写真を入れ替えたり、新しい写真立てに変えたりするのが、私の楽しみだ。
「今も綺麗だけど、このときはものすごく綺麗だった」
「もう、やめて。恥ずかしいわ」
「愛してるよ」
橘君は、結婚した今も、私に愛の言葉を惜しみなく送ってくれる。
それは誰がいようともやめないので、とても恥ずかしい。
「もう一度、着てもらいたいくらいだ」
「いやよ」