ピュア・ラブ2 ~それからの~
流石にこれにはびっくりした。
プロポーズをもらったとき、私は、自分の両親、生まれた環境を嘘偽りなく橘君に話しをした。
これを聞いても、結婚する気があるのかどうか、ちゃんと確かめたかったのだ。
私がここに存在するには、嫌でも両親の存在がある。それを隠して結婚は出来なかった。
だから、生活事態に不安があること、子供が出来た時に育てて行く自信もないこと。両親のようになってしまうことが怖くて仕方がないこと。包み隠さずすべてを話した。
私のこれまでを話すのに、時間がかかった。
過去の辛さに、過呼吸のような状態に初めてなり、向き合うことの大変さを知った。
何日もかけて話を終えると、橘君はそっと手を握って、左の薬指に指輪をはめた。
「黒川の帰る場所は俺の胸の中だよ」と言って、抱きしめた。
だけど、「キザだな俺」と言って、真っ赤になって照れ笑いをした。橘君らしい。
悩みに悩んでいた時間が何だったのかと、自分でも驚くほど、素直に言葉が出た。
「こんな私でよかったら、よろしくお願いします」
こうして、私は、素敵なプロポーズを受けたのだ。
「ホントにごめん!! 赤の他人である俺がするべきことじゃなかった。反省してる」
「いいの、頭を上げて」
ひれ伏すように頭をつけ、謝る彼の姿が逆に申し訳なくなって、私からも謝ってしまった。
橘君はきっと思いつめただろう。
こんなことをさせてしまたったのは、私だ。
「いくら持って行ったの?」
「……100万」
「ひゃ……!! 100万って」
さすがにこれには絶句した。
すぐにたまる金額じゃない。
「……受け取ったでしょ、あの人」
それが一番怖かった。
そのお金は私が橘君に返せばいい、それだけのことだ。
「それが……受け取らなかった」
「え! まさか……でしょ?」
「黒川から話を聞いていたから、実は俺も信じられなかったけど」
「うそ……」
「お母さんの態度を見て、傷つけてしまったと思った。取り返しのつかないことをしてしまった」
あんなにお金に汚く、浪費癖のある母親が受け取らないはずがない。
きっと何かの間違いだ。
「もう、茜にも近寄らないし、子供はいなかったと思って生きていくって。それで」
「それで」
「茜に申し訳なかったって、言ってくれって」
「……」
「前に俺があったときのお母さんじゃなかったよ。すごく老けてて」
「なんの仕事をしていたの? 働くのが嫌いだったあの人が」
橘君が悪いわけじゃないのに、母親の話が出ただけで、声のトーンが低くなり、怒りで身体が震えてきた。
「食堂で働いていたよ。団地にずっと住んでるって」
「……」
プロポーズをもらったとき、私は、自分の両親、生まれた環境を嘘偽りなく橘君に話しをした。
これを聞いても、結婚する気があるのかどうか、ちゃんと確かめたかったのだ。
私がここに存在するには、嫌でも両親の存在がある。それを隠して結婚は出来なかった。
だから、生活事態に不安があること、子供が出来た時に育てて行く自信もないこと。両親のようになってしまうことが怖くて仕方がないこと。包み隠さずすべてを話した。
私のこれまでを話すのに、時間がかかった。
過去の辛さに、過呼吸のような状態に初めてなり、向き合うことの大変さを知った。
何日もかけて話を終えると、橘君はそっと手を握って、左の薬指に指輪をはめた。
「黒川の帰る場所は俺の胸の中だよ」と言って、抱きしめた。
だけど、「キザだな俺」と言って、真っ赤になって照れ笑いをした。橘君らしい。
悩みに悩んでいた時間が何だったのかと、自分でも驚くほど、素直に言葉が出た。
「こんな私でよかったら、よろしくお願いします」
こうして、私は、素敵なプロポーズを受けたのだ。
「ホントにごめん!! 赤の他人である俺がするべきことじゃなかった。反省してる」
「いいの、頭を上げて」
ひれ伏すように頭をつけ、謝る彼の姿が逆に申し訳なくなって、私からも謝ってしまった。
橘君はきっと思いつめただろう。
こんなことをさせてしまたったのは、私だ。
「いくら持って行ったの?」
「……100万」
「ひゃ……!! 100万って」
さすがにこれには絶句した。
すぐにたまる金額じゃない。
「……受け取ったでしょ、あの人」
それが一番怖かった。
そのお金は私が橘君に返せばいい、それだけのことだ。
「それが……受け取らなかった」
「え! まさか……でしょ?」
「黒川から話を聞いていたから、実は俺も信じられなかったけど」
「うそ……」
「お母さんの態度を見て、傷つけてしまったと思った。取り返しのつかないことをしてしまった」
あんなにお金に汚く、浪費癖のある母親が受け取らないはずがない。
きっと何かの間違いだ。
「もう、茜にも近寄らないし、子供はいなかったと思って生きていくって。それで」
「それで」
「茜に申し訳なかったって、言ってくれって」
「……」
「前に俺があったときのお母さんじゃなかったよ。すごく老けてて」
「なんの仕事をしていたの? 働くのが嫌いだったあの人が」
橘君が悪いわけじゃないのに、母親の話が出ただけで、声のトーンが低くなり、怒りで身体が震えてきた。
「食堂で働いていたよ。団地にずっと住んでるって」
「……」