江戸女と未来からの訪問者
「こんにちは」

 声も格好良いではないか。大岡越前の神のような渋いお声じゃ。

 それにしても、美しいお顔じゃのう。

 我を忘れて見とれてしまうではないか。

 おまけに背丈も高い。体格もがっちりしておる。

 紋付袴がよく似合うのう。

 こんなに心がときめいたのは初めてじゃ。

 ふっ、心の臓が喜んでおる。

 歓喜の雄叫びが聞こえるわい。

 おっと、私としたことが。

 こ奴がまだ何者なのかわからん。

 日本人形を奪いに来たのかも知れん。

 油断するでないぞ。

 隙を見せるでないぞ。

 心を許してはならんぞ。
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