江戸女と未来からの訪問者
「先程の続きを話してくださらぬか」

「はい。僕は、花子様のファンクラブの代表でして」

「ほう、未来の日本には、私のファンクラブがあるのか」

「はい。会員数は、二十万名を超えております」

「ほう、そんなにおるのか。すごい数じゃのう」

「はい」

「サインは何枚欲しい? 好きなだけ書いてやるぞよ」

「ははー、ありがたき幸せであります!」

 そんなに土下座せんでよい。

「面をあげい」

「はい。色紙を百枚ほど持ってきました。あとこれは、花子様へのプレゼントであります」

 まだ緊張しておるのか。だいぶ早口になっておるぞ。

「受け取っていただけますでしょうか」

「喜んで受け取ってしんぜよう」

「ははー、ありがたき幸せであります!」

 そんなに頭を下げんでよい。

「箱を開けてもよいか」

「はい」

 ほう。贈り物とは、着物であるか。

 実に見事な着物じゃのう。

 色も柄も私の好みじゃ。生地もしっかりしておる。

 私が持っておる着物より、良質な着物であるぞ。

 高かったろうに。高かったろうに。
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