江戸女と未来からの訪問者
 町の民は今日も元気な様子じゃ。

 可愛らしい犬がおるのう。

 無邪気な猫もおる。

 平和でよいよい。



「ねえ、ママ」

「なあに?」

「あのおばさん、どうして傘を差してるの?」

 傘を差している町の民は、私しか見当たらぬ。

 おばさんとは、私のことであるか。

 こう見えても、私は四十であるぞ。

 まだまだお姉さんじゃ。
 
「あのおばさんが差してる傘は、日傘っていうのよ」

 お主までもがおばさんと言うか。

 私より年寄りであろう。

「ふーん、変な傘だね」

 変な傘とはなんじゃ。

 番傘を知らぬとは、どういう教育を受け取るのじゃ。

 恥を知れ、恥を。
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