好きな人は幼馴染み ー短編集ー
そんなこんなで
今日の体育祭は
エイちゃんとなっちゃんが
目立ちに目立って


生徒のみんなも大盛り上がり。


次は借り物競争。


クラスの男の子の田中くんが
スタートしてクジを引くと


走ってきてきたからか
顔を真っ赤にして


「飯田さん、ハチマキ貸して!!」


と、来た。


「えっ?!あっ、はい!!」


私は慌ててハチマキを取ろうとすると


「はい!私の貸してあげるっ!!」

と、言って
違うクラスのはずの
なっちゃんが私の後ろに
いつの間に立っていて…
ニッコリ笑って
田中くんに渡すと


「えっ?俺は…飯田さんに…」


「いいから!これ使って!ねっ!」

と、言ってなっちゃんは
田中くんの手を掴んで
自分のハチマキを握らせると
バイバイと手を振ると


田中くんは腑に落ちない
ような顔をして

それを持って走って行った。


田中くんの背中に
なっちゃんが
あっかんべーってすると


「アコ?去年も借り物競争って
こんな感じだったの?」


「うん、クジを引いて
借りに来るんだよ?」


「そうじゃなくて、去年も
たくさん貸した??」


すると、近くにいたマコトくんが


「うん、去年はアコちゃん
ジャージ、ハチマキ、靴下
ほぼ全部持って行かれてたよ?
アコちゃん本人の時はさすがに
俺が止めたけど…」









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