衝撃的発言から始まる、シンデレラストーリー
「……なあ、ここセキュリティーどうなってるんだ?ドアモニターもないのか、危ないだろ」
思考停止している私をよそに、副社長は眉間に皺を寄せ、辺りをキョロキョロとしながら不機嫌そうに話した。
副社長の声にハッと我に返る。
「すいませんね、安アパートなのでそんなものないんですよ。別に今までそんな危険な目に合った事ないんで、特に危機感は感じませんよ。この辺り田舎だから比較的治安いいんで」
「その余裕が怖いんだよ。何かあってからじゃ遅いだろう?ったく、少しは用心しろよ」
と言って、副社長は普通に家に入ろうとする。
その動きに気付いて、私は慌てて副社長の身体を押さえて止めた。
「ちょ、ちょっと!何してんですか!!」
「何って、ここまで来たんだし少しお茶でも飲んでいこうかなと思ってな」
「帰って下さい!ここは副社長が入るような場所じゃないですから!!その前に人を呼べるような状態じゃない!!」
「別にいいだろう?俺とお前の仲だし。入るぞ」
「そんな仲じゃない!!」
抵抗虚しく、副社長は靴を脱いで部屋へと入っていく。
私は慌てて後を追って部屋へと向かった。