衝撃的発言から始まる、シンデレラストーリー
って、帰らないのか!

この状況でも座るのか!


副社長は座るなりスーツのジャケットを脱ぎ、締めていたネクタイを緩めた。

そしてテーブルに置かれた安ウイスキーの瓶を手に取ると、ふっと笑う。


「随分と安いもん飲んでるな。まあこれでいいか。グラスをくれ」

「なんでそんなに寛いでいるんですか」

「普段は広くて殺風景な場所にいるからな、狭いのは意外と心地がいい。ほら早く持ってこいよ」


なんで自分の家で命令されなきゃならないんだ、と不服に思いつつも、仕方なくグラスを取りに行く。

グラスを手渡すと、副社長はトクトクとグラスにウイスキーを入れて、ひとくち飲んだ。


「やっぱり安酒だ。深みが全くない」

「だから炭酸で割ってるんですよ。普段はいいんです、酔えれば」

「じゃあこれに氷入れてきてくれ」


副社長はグラスを私に差し出す。

だからなんで私が……と、やっぱり不服に思いながらそれに逆らえない。


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