衝撃的発言から始まる、シンデレラストーリー
「い、いえ。別に副社長のせいでは……。それよりもよろしいんですか？追い掛けなくても」


私に謝る必要などなく、隣で呑気に座っている場合ではないと思った。

隣にいた女性は、薄暗くてハッキリとは見えなかったけれど、とても美しい女性だったから。


副社長とお似合いの女性。

こんな地味な私に構っている場合ではない。


しかし副社長は動こうとはしなかった。

マスターにウィスキーのロックを注文する始末だ。


「別にいい。正直しつこくてウンザリしていたんだ。何回断っても諦めなかったからな」


そう言って、おもむろに内ポケットから煙草を取り出すと、片手でZIPPOの蓋を開け煙草に火を付けた。


そして、ため息のように大きく息を吐く。

白い煙が吊るされたランプへと向かって上昇する。



洒落たBARに洒落た男がひとり、グラスを片手に煙草を嗜む。


まるで映画のワンシーンのようで、思わず見とれてしまった。


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