百年恋

しばらくすると、外から声が聞こえてくる。

「花はここにいるのか。」

枯れたガラガラの汚い声の後から
水山くんのイケボが聞こえてくる。

「ここにはいない。」

「祐太郎…いや、祐也。花の気配は消せても
匂いは消せぬ。」

花?flower?
私の頭にはてなが浮かんだところで
襖がおもいきりあいた。


「水野!逃げろ!!!」

水山くんの声が聞こえて後ろを振り返った時、
私の目の前には身長2mを超えるであろう
巨大な赤い顔をしたソレが立っていた。


「なにこれ…」

驚きのあまり腰が抜けて逃げることが出来ない。

「おお、祐太郎同様に100年前と全く顔が変わっておらぬな。」

大きな目を細めて私を見下ろすソレを
私は睨みつけた。

「…私に、なにするの。」

「ハッハッハ!相変わらず威勢のいい娘だ。何もするわけなかろう。花は花らしくじっと咲いておれば良い。」

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