あの日の約束
海斗が引っ越す日。

私は、幼い頃からの
思い出の公園で会う約束をしていた。

妹しかいない私にとって
海斗は本当のお兄ちゃんの様な存在だったから

まだ、その海斗と離れると言う事が
嘘のような気がして仕方がなかった。



「ごめんー!」


待ち合わせ時間より
15分遅れて公園に来た海斗は
走ってきてくれたせいか、
少し息がきれていた。


「いいよっ★」


少し沈黙が続いて
それに耐えきれなくなった私は


「ここ2人でくるの久しぶりだね♪」

とありきたりの言葉で
その場をしのぐので精一杯だった。

「そう言えばそうかもなーっ♪
 何か懐かしい!」


でもそんなありきたりの言葉で
話が続くはずはなく

また沈黙が少し続いてしまったけど
次は海斗が口を開いた。

「あのさっ?
 俺、東京引っ越しても
 お前のお兄ちゃんは辞めやんから!」

海斗も私の事を兄弟の様に
親しく思ってくれていたとは思っていなかったから
予想もしなかった言葉に
何も考えられず、気がつくと
自然と口から言葉が出ていた。

「本当に!?約束やからねっ?」

「おぅっ!」

けれど、まだ不安が残っていた私は


「……ねぇ?絶対?」


と聞き返してしまった。


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