あの日の約束
私が昔から知っている海斗。

けれどここに載っている海斗は
私の知らない海斗。

私の心臓の音が
少し速くなったのが分かった。


その日、私はどこにも寄り道をせずに
まっすぐ、急いで家に帰った。
そして真っ先にパソコンで
『西城 海斗』を検索した。

すると検索結果がたくさん出てきた。
"すごい...。私が知らない間に
 こんなに有名になっていたんだ...。"

そして、しばらくHPを見ていると
あと2,3分で始まる
テレビ番組に出ると
書かれていたから
そのままテレビをつけた。



テレビの中に映る海斗を見ていると
昔の事を思い出す。
けれど私には
テレビに映っている海斗は
海斗じゃないように見えた。


いつも一緒に話していた
関西弁も、綺麗な標準語になっている。

たったそれだけなのに
今の海斗は
私との思い出は綺麗に忘れているかのように
見えてしまって、胸がくるしくなる...。


同じ日本語なのに
言い方が違うだけで
こんなにも違ってくるとは
思っていなかった。


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