4.祭りは胸騒ぎ?


「という訳で新たに此処桜田奉行所に同心として働くことになった吉野晴明君だ」

私は自身の目を疑った
そこにいたのが昔寺子屋に通っていた時の友人である晴明だったからだ。
寺子屋に通っていたのは母や姉弟が生きている頃だから十年前
晴明は小さくていじめられていたところを助けた、というかあんな助けて欲しい目で見られたら助けざるを得ないじゃないか。
でもそれからずっと一緒に居て七つになるまでの1年間姉弟以上に一緒に居た
あの日を境にそれっきり会いもしなくなったから凄く懐かしい
きっと向こうも覚えていな「櫻ー!」

急に世界が反転した

「急に抱き着くなよ!ビビるだろーが!」

自分で言ってハッとした、此処に来てから言葉遣いを改めて崩した言葉はあまり使っていない。
父上が驚いて居るのを見て初めて失敗したと後悔をした
「晴明、私も女です。昔とは態度を改めてないと」
小さく言って失礼しますとだけ告げ部屋を抜け出した

やってしまった。

どうしよう、もしお前は要らないとか

必要無くなって捨てられてしまったら



いい子じゃないと居られない。


「櫻?何故こんな場所にいる。会議はまた抜け出したのか?」
「びじがだざん''、どうじよう…いられなぐなっだらああ」
つい土方さんに泣きついた、どうしようもなくなった。
「取り敢えず落ち着いて訳話せ。」
訳を話せばくすくすと笑われまたあやすように頭を撫でられる
頭を撫でられるのは余り好きじゃない、この人と父上以外は
この人の手は素直に好きだ。
そう思うとどきどきする、でも今はその考えは要らないから置いておき本題を考える。
「どうしよう、私居られなくなったら」
「大丈夫、あんな子煩悩逆に見たことねェよ」
よしよしと言いながら撫でられ顔が真っ赤になる、それはきっと泣いたせいだけじゃないと私は思う。
「櫻、」
父上の声がして後ろを振り返ると何故か柱の後ろに隠れていた
「父上!良いのですか、会議は」
父上は頷きながら私を抱きしめた。
「もう我慢しなくてええんやで」
言い方なんだよ、とは思ったけれどきっと素直に言えない父上の精一杯の言い方だったんだと思う。
おかげで少し楽になれた、土方さんにも感謝だ。
さて、

「晴明さん、入りますよ」
障子を確認無しに開くのは一応こちらの方が先輩だからだ。

「櫻?さっきはごめん、嬉しくってつい」

「いえ、私が悪いんです。父上の前じゃあんな言葉遣い使ったことありませんから」
素っ気なく言葉遣いを改めて聞きたいことをすんなりと言う
「晴明さん、どうして此処に?」
晴明さん呼びにピクリと反応した晴明は急に私の腕を引き抱き留める
私よりも一回りも大きくなりゴツゴツとした骨の感触やばくばくと伝わる心臓の音
一瞬で空気が変わった
晴明の心臓の音がこちらにまで伝染してばくばくする、何故抱きしめられているのか
この体制は何なのかそこまで思考が追いつかない
心臓が痛い、ばくばくばくばく
どうしよう。
「俺お前を探してたんだよ。」
晴明の低い声が響く、声変わりして低くなっているけど何処か昔に似ていて懐かしくてぎゅうと抱きしめられたまま動かなかった、動けなかった訳ではきっとない。
私、もしかして「吉野、お頭が話があると」
急に開いた障子の向こうに居たのは勿論
「土方さ、」
珍しく仏頂面が変わっていてこっちが驚いた

「悪い」

その一言だけを言うと直ぐにいなくなった土方さんを見て何とも言いがたい感情に襲われた
待ってと言いたいのに喉が張り付き声が一つもでない

「は、離して…下さい、」
ようやく出た言葉に晴明はすんなりと離してくれた。
私は土方さんに恩義があるというのに

そんな中でも日は落ち、祭りは等々明日へと迫っていた。
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