星降る空で抱きしめて【上】~女子校英語教師と生徒の恋の場合

「なぁ、南条。」

渋々帰り支度を始めた私を先生が呼ぶ。

「はい。」

「俺、ご両親に会いに行こうか?」

「何ですか!?藪から棒に!」



「好きだ」とか、「惚れちゃう」とか、「心配だ」とか…

その流れで更に「両親に会いに」なんて…

変な期待をしてしまう。



「前にも言ったろ?

やりたいことを見付けてもご両親が認めてくれない時は一緒に話しに行ってやるって。

覚えてない?」

「あ…」



夏のあの日。

校庭を駆ける風と先生の体温が熱かったあの時。

先生は言った。



『俺、一緒に話しに行ってやるよ。』



忘れてたわけじゃない。

本気にしてなかったわけでもない。

けどあの時、全てが夢のようでリアリティがなくて…
< 108 / 333 >

この作品をシェア

pagetop