星降る空で抱きしめて【上】~女子校英語教師と生徒の恋の場合
そんな所をなぜ歩いているかと言うと…



(こんなに無駄に歩かされてんのもお父さんとお母さんが話聞かないせいだし!

向こうが折れるまで絶対家には帰らないんだからっ!)



今朝も朝から進路のことで揉めに揉めた。

私はもうこの頭の固い両親に強攻手段に出るしかない、と思い、身の回りのものを旅行用のボストンバッグに詰めて家を飛び出した。

昼前のことだ。



家を出た瞬間から他のことは頭になかった。



先生の所に行こう─



先生はこの町に一人暮らししていると言っていた。

駅から南に歩いて10分程で、少し古いが1Kのアパートにしては瀟洒な造りの建物の1階に住んでいるとも言っていた。



(アパートなのに瀟洒とか、絶対目立つと思ったのに…)



足を止めて途方に暮れる。

日暮れが近い。



溜め息ひとつ、私はバッグを持ち直し、再び歩き出す。

     *  *  *
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