星降る空で抱きしめて【上】~女子校英語教師と生徒の恋の場合
外は秋の終わりの冷たい夜風が舞う。



「南条、寒くない?」

「うん。マフラー持ってきたから。

先生は?」

「俺は平気。

また遅くなっちまったな。送ってこうか?」

「えっ!

全然いいよ!先生電車違うもん!」



私は顔の前で両手をパタパタ振る。

好きで残ってたのに忙しい先生に迷惑かけられない。



「南条、俺と一緒じゃ…嫌?」



「え…」



横目でこちらを窺う先生の視線はどこか色っぽくて、また私をドキリとさせる。



「そんなことないよ!

ていうかむしろその方が嬉しいしっ!!」

狼狽えて本音が漏れる。



「じゃ一緒に行こう。」



先生の手が私の頭にぽんぽんと触れる。



幸せな帰り道。



私はポケットに手を入れる。



くしゃ…

小さなメモの触感。



そして空には─



「あ!流れ星!」

「牡牛座流星群だな。」

「先生、星詳しいの?」

「いや、これだけ。

俺の『昴』って名前、牡牛座のプレアデス星団の和名なんだよ。
で、これだけは知ってんの。」

「そうなんだぁ。」



ふたり空を見上げながら歩く。

その頭上に時折流星が尾を引いて駆けてゆく。



幸せな時間。



そして別れ掛けに先生が言う。



「連絡、待ってるから。」



先生はどこまでも私を惑わせる─


     *  *  *
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