星降る空で抱きしめて【上】~女子校英語教師と生徒の恋の場合

「あ!ねぇ先生、文化祭どうだった?」


私はふと思い立って訊ねてみた。



「ん?」

「先生うちの文化祭初めて見たでしょ?どんな感じだった?」



テーブルの上に腕組みしてずいと身を乗り出す。




「…えっと

あ…あぁ…面白かった、よ?」

「何それ?全然面白くなさそう。」

私はちょっと首を傾げて、眼を逸らしている先生の顔を下から覗き込むように見る。



「あのね、文化祭の一番人気は毎年演劇部のミュージカルなんだよ。うちの演劇部はコンクールでも…」

「南条。」

先生が遮る。



「…今日はマフラー、持ってないの?」



「マフラー?」

私は首を振る。



「来る時あったかいから持ってこなかった。

なんで?」

「……」

「?」



応えない先生に不思議に思って更に身を乗り出す。



「あっ!…ちょ、ま…」



先生が慌てたように椅子の背に掛けた自分のマフラーを取り上げ、ふわりと私の首元に巻いた。
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