星降る空で抱きしめて【上】~女子校英語教師と生徒の恋の場合

「塾は巧いこと入試に必要な知恵をピンポイントで授けてくれるからね。やれるならやっても良いとは思うけど…

でもどうしても今までの倍忙しくなるから。

帰りも遅くなるし、体力的にきつかったら俺ならやらないな。」

「そっか…じゃあ数学だけにする。」

私は先生ににっこり微笑んだ。



「いいのか?俺の意見で決めて。」

「いいの。だって先生が一番信頼できるもん!」

「……」



先生は急に黙って私をじっと見る。

見つめる先生の鳶色の瞳は表情がなくて先生が何を思っているのか分からない。



ふと先生は頬を弛め、言う。

「お前が思ってるより俺は狡いぞ?」

「?

また訳分かんないこと言うー。こないだだって…」



『俺はそんなの…

嫌だから。』

って、どういう意味?─



訊きかけて、止める。
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