星降る空で抱きしめて【上】~女子校英語教師と生徒の恋の場合
「…ごめん、ね。
こんな風に、清瀬くんに甘えるの、間違ってるの分かってる…」
「だから止めとけって言ったのに。」
「……」
「なぁ、舞奈。」
「…うん。」
「付け込んでるの分かってるけどさ…
俺と付き合ってよ。」
「……」
「一週間、いや、傷が癒えるまででいいから。
俺のところに来いよ。」
気付いたら清瀬くんの傍は温かくて、どこか居心地が良くて。
でもこんな時にだけ頼ってしまっているようで申し訳なく思う。
「お前の今考えてること、何となく分かる。
けど、全然いいから。
お前に頼られるなら嬉しいし。利用してよ、全然。」
「!!」
「だから、な?
俺と付き合う?」
「……」
「舞奈。
好きでいても苦しいだけなの分かってるんだろ?」
「…うん。」
「じゃ分かったら返事。俺と付き合う?」
「…はい。」
清瀬くんが腕に力をこめて私を抱き寄せた。
私は清瀬くんの胸に頬を寄せる。
多分もう恋はしない。
でも先生にさよならとは思わない。
だって今も、これからも先生は先生。先生にとって私は生徒…
「ごめんね…」
「なんで?
俺、チャンス貰えたと思ってっし。舞奈がソイツのこと忘れるまでに振り向かせるから覚悟してて。」
清瀬くんがにやりと笑う。
今はその笑顔に救われる。
今はその笑顔に甘えさせて…
私は涙が止まらないまま、凄く無理して多分きっと凄く不細工な笑顔を返した。
* * *