星降る空で抱きしめて【上】~女子校英語教師と生徒の恋の場合

「その代替えが「妹」ってことね。」



そう。妹という名目ならやましいことなくこれからもずっと傍にいられるから…



「まぁね、大切な同志が折角就職したのに一年足らずでクビになっちゃ困るしね。

そういう風に自分を誤魔化すのもアリかもしれないわね。」



自分で自分を誤魔化してきた想いだった。

決して彼女には言えない、隠し通そうと思った想いだった。



自らを騙してきたことをはっきり認めると、確かに今、俺は初めて気付かされた。



夜璃子の言うようにそれは『初恋』なんだと。



自分から誰かを好きになったこと、誰かを欲しいと思ったことはただの一度もなかった。

まして、こんなにも狂おしいほど。



自分の、自分だけのものにしてしまいたい。

誰にも渡したくない。

出来ることなら宝石箱に入れて鍵を掛け、俺だけの場所にしまっておきたい。

そんな欲望さえ過ることがある。

もちろん純真な彼女にそんなこと出来るわけもないけど。
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