星降る空で抱きしめて【上】~女子校英語教師と生徒の恋の場合

「あなた達、教師と生徒として出逢わなければ良かったのにね。

そしたら昴も舞奈ちゃんも倖せだったのに。」

「……

いや…そんなことないよ。」

「なんで?」

「南条は俺のことなんて、教師としてしか見えてないから。」

「……」



夜璃子は少し首を傾げて俺を見遣る。

そして、

「…ふぅん。

なんか、恋をしたことがない人って…

いろいろ残念だわね。周りが見えなくて。」

と言って何やら意味ありげに薄く笑った。



「これからどうするの?」

「どうもこうも…

教師として見守ることしか出来ないからな、俺は。」

「…そうね。

でも…

見守るしか出来なくても…でも少しでもあの子の心の中に昴のこと焼き付けることはしてもいいんじゃない?

あの子が卒業する時には『妹』でいたくないんでしょ。」

「……」



俺のことだけ見てて欲しい、なんて、そんなことは言えないけど…

でもせめて、教師としてだけじゃなくて、俺のこと少しでも男として見て欲しい。

「好きだ」なんて、とても言えないけど…

でも、俺の気持ちに気付いて欲しい。



そんなことを思ってしまうのは、エゴイズムじゃないのかな…
< 286 / 333 >

この作品をシェア

pagetop