星降る空で抱きしめて【上】~女子校英語教師と生徒の恋の場合
2学期

12月~ハツカレ


「ねぇ舞奈。」



清瀬くんが学校まで迎えに来た帰り道。



「何?」

「毎日迎えに来ていい?」

「えぇっ!ダメだよ!」

「なんで?会いたいじゃん?」

「そうじゃなくて!

毎日あんなところに立ってたら、生徒指導の先生とかに見つかったら怒られちゃうよ。」

「えー、俺気にしないけど?」

「私がするの!」

清瀬くんは唇を尖らせる。



「しゃーねーな。じゃ駅で待ってっから。」

「……

うん。」



清瀬くんが繋いだ手を握り直した。

指と指の間に自分の指を差し入れ、掌をしっかりと包み込んで握り締める。

「恋人繋ぎ」って言うんだよね?

この繋ぎ方、なんだか落ち着かない。



「それに、出来ればラインして?

今日だって私が帰るの早かったりしたら行き違いになってたよ?」

「なんねぇよ?
だって俺、2時頃からあそこにいたし。」

「え?授業なかったの?」

「午後の授業さぼった。」

「えぇっ!」

「授業よりかお前に会える方がいいに決まってんじゃん?」



校門の前に4時間も…

(岩瀬やヤマセンに見つかんなくてよかったよ…)

そんなことを思っていると、



「来週さ、

お前誕生日だよな?」



清瀬くんが言った。



「うん。」

「一緒に祝お。」

「えっ!」

「えっ!じゃねぇよ。嫌なのか?」

「…ううん。」

「じゃ決まり。」



(誕生日か…)



一緒に祝ったりしたら…



(別れにくくなるな…)



清瀬くんとの思い出はあんまり増やさない方がいい。



私の気持ちを知ってか知らずか、清瀬くんは私の顔を覗き込んで

「楽しみにしてる。」

といつものように笑った。
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