星降る空で抱きしめて【上】~女子校英語教師と生徒の恋の場合
「女の私から見ても憧れるような素敵な女の人。
そういう人と一緒になって、幸せになってくれたらいいな、と思ってるの。
私ね、先生が幸せでいてくれることを何より願ってるんだ。
私は先生のこと好きだけど…先生のために、先生が幸せでいるために出来ること、他に何もないから…」
「見てるだけなんだ?」
揺花が頷く。
「そういうもの?」
「そういうもの。
だって…先生に迷惑かけたくない。」
「迷惑かな?」
「先生と生徒だもん。」
「そっか…」
先生と私も先生と生徒だけど、迷惑かどうかなんて考えたこともなかった。
そもそも私が先生にどうしたいのか、先生とどうなりたいのか、
そんなことも考えたことないと思う。
この夏合宿だって、ただ先生の傍にいたい、先生を見ていたいと思って来ただけだった。
空に一番星が輝く。
私と揺花の間に海風が吹いた。
風が、今日は珍しくポニーテールに束ねた首筋を撫でて心地良い。
「戻ろ?暗くなってきた。」
そう言って揺花が立ち上がる。
「うん。」
私たちは玄関の引き戸を開けた。
* * *