星降る空で抱きしめて【上】~女子校英語教師と生徒の恋の場合

「じゃ南条さんまたね!」

「うん。バイバイ。」

同じクラスの委員の子と廊下で別れ、私は誰も居なくなった廊下で再びスマホを取り出す。



『今終わったよ。これから帰るね!』



清瀬くんへのラインの送信ボタンを押したところで、



パン!



「!」



頭の天辺に軽い衝撃を受ける。



振り返るとそこには…



いつの間にか私の頭上にテキストを掲げる先生がいた。



「せんせ…」

「ほら、スマホ。校内では禁止だよ。しまってしまって。」

「あ…」

私は慌ててそれをスクバの外ポケットに押し込む。



「珍しいね、こんなとこで。何?委員会?」

「…うん。」



ちょっと…気まずい。



「このあと来る?準備室。」



先生の問いにかぶりを振る。



「用事、あって。」

「…そっか。」



少し開いた窓から冷たい空気が流れ込んでくる。

それと共に先生との間にひやりとした間が流れる。



帰ります、と言いかけた時、



「この間の、彼氏?」



先に口を開いたのは先生だった。



胸がどきりと嫌な音をたてる。



何と応えていいか分からなくて口籠っていると、ふっ、と先生が小さく笑う。



「南条は誤魔化すの下手だな。」



いつもと変わらない先生の声。

その穏やかさに胸が疼く。



そりゃそうだよ。

私に彼氏がいたって、先生には取るに足らないことなんだから…
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