星降る空で抱きしめて【上】~女子校英語教師と生徒の恋の場合

「コンサート帰りに奢るから~。」

とにっしゃんは言うけれど、俺としては奢って貰わなくていいから早く帰りたいというのが本音だ。正直、にっしゃんと飲むのは面倒臭い。

そしてにっしゃんもそれを分かってて敢えて奢るなんて言ってみせてるのが見え見えだ。



「場所が芸術劇場で、初原いつも乗り換えに使ってる駅のとこだからさ、近いだろ?」

「確かに近いけど…」

「じゃ日曜。4時に駅で待ち合わせな。」



俺の返事も聞かず言うが早いかにっしゃんはバックパックを背負い直して

「じゃお先~」

と帰って行った。



にっしゃんはいつも自分のペースだ。

こんな風にただでさえ疲弊している時ににっしゃんに付き合うのは、考えただけで頭が痛い。

俺はもう一度額を押さえて溜め息を吐いた。

     *  *  *
< 313 / 333 >

この作品をシェア

pagetop