星降る空で抱きしめて【上】~女子校英語教師と生徒の恋の場合
私の瞳が美しい世界に魅了されていた時、やにわに耳心地良い甘い声を聞いた。



「綺麗だね。」



顔を上げると、先生だった。



先生は私の指の先にある真昼の世界を見つめていた。

光が反射して映り込み、その整った顔が一層幻想的に見えている。



私が先生から眼を離せないでいるうちに花火の火は消えてしまい、眼の前が急速に闇になる。



闇の中で先生は、

「あんまりここだけ明るいんで思わず見に来ちゃった。」

と言った。

そして、はっきりとは見えないけれど、いつものようににっこり微笑んだようだった。



「先生もやる?」

私が訊くと、

「今向こうで打ち上げ並べようと思ってんだ。」

と庭の端を指差した。



「私も手伝うよ。」

と言うと先生は

「大してないからいいよ。」

と首を振ったけれど、

「二人でやるともっと早いから。」

と言って、先生の先に立ってそこへ向かった。
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