星降る空で抱きしめて【上】~女子校英語教師と生徒の恋の場合
バッグの中でスマホが短く振動するのを感じた。

ラインの新着を知らせるバイブレーション。きっと清瀬くんだ。

でも私はスマホを確認する気がなくて、地上に眼を落としたまま項垂れる。



冷たい風が空に唸ってデッキの上を走り、私に吹き付けた。



「寒…」

髪とマフラーが寒風に煽られた時、



「…条!南条!」



風の音に紛れて私を呼ぶ声にはっとした。

階段の下にこちらを見上げる先生の姿が見える。



「!!」



先生が階段を駆け上ってくる。



(どうしよう…)

先生が私を見つけてくれたことが嬉しいのに…

それ以上に逃げてきた自分が恥ずかしくて、そんな私を探してくれたことが先生に申し訳なくて、居た堪れない。



私は反対側のバスターミナルの方へ向かって走り出した。
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