星降る空で抱きしめて【上】~女子校英語教師と生徒の恋の場合
「あの…今日も私がここにいそうかなと思って、来たの?」
咄嗟に紡いだ言葉は少したどたどしくなってしまった。
「いそうかな、って言うか、いるだろ?毎日。」
「え?」
呼び止めてしまった手前なんとなく訊ねた問いだったけど…
昨日いたから今日もいるかな、と思って本を届けに来てみたわけじゃないの?
「先生、私が夏休み中毎日ここに来てるの…」
「あ、あぁ…」
先生は急に気まずそうに言葉に詰まり、鳶色の瞳が泳ぐ。
「…知ってました。」
先生がポロシャツの襟を摘まみ、パタパタと中に風を送る。
「…もういいか?」
「あ、うん…」
「じゃな。」
先生は背中を向けて左手を軽く挙げ、戻って行った。