星降る空で抱きしめて【上】~女子校英語教師と生徒の恋の場合
その翌日は金曜日だった。

私はまたいつもの場所に座って昼食を摂っていた。



(今日は先生、来ないかな…?)



私がいるのを知ってるなら、逆に言うと私に用がなければ来ない、ということ。

私はお気に入りの板チョコパンを食べ終え、ギラギラ光るグラウンドを眺めていた。



会いたければ職員室に会いに行けばいいんだけれど。



(だって用事があるんだから…)



でも。



出来ればここで会いたい。



出来れば…



二人きりで…



(私、何乙女チックなこと考えてんだろ!)

一人で思って一人で恥ずかしくなる。



その時、蝉時雨の中に靴音が聞こえた。

反射的に振り返ると…



「…先生。」



会いたい気持ちが、聞こえちゃったのかな?

なんて、ますます乙女な妄想。

今日の私はいつもの私らしくない…
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