星降る空で抱きしめて【上】~女子校英語教師と生徒の恋の場合
「今日も登校?感心感心!」
先生は言って、なんだか当たり前のように私の隣に座る。
「先生、今日は?」
私に会いに来た、って…言って欲しい。
絶対ないけど…
「言ってんじゃん。俺も虫干しが趣味だって。黴生えたくないもんな。」
先生がふふっと可愛く笑う。
あぁ、やっぱり可愛いな。
好きだな、この顔…
そんなことを思って胸を踊らせていると、大事なことを忘れそうになる。
「あっ、そうそう!先生、これ。」
私はバッグの中から昨日の本を取り出し、先生に差し出した。
「え?もしかして、もう読んだの?」
「はい。」
「なんだ、ゆっくりで良かったのに。」
「先生が附箋張ったり線引いたりしててくれたし、すぐ読めちゃったよ。」
「何か気になるとことかあったか?」
「幾つか。考古学者のとことか、あと、こっちも…」
ページをパラパラと捲ってみせる。
「そうか。」
先生は少しだけ私の方に顔を寄せて本を覗き込んだ。
きめの細かい綺麗な頬と長い睫毛に縁取られた瞳が不意に目の前に現れる。
(ち…近いよ…!)
先生からしたらきっとなんでもないことなのに、私の心臓は跳ね上がってしまう。