星降る空で抱きしめて【上】~女子校英語教師と生徒の恋の場合

「えと…動詞が二つ出てくるので…どこかにthatが入ってるとは思うんですけど…」



恐る恐る口を開くと岩瀬が小さく溜め息を吐いた。



(やっぱりこの人は苦手だ…)



岩瀬は問題集に眼を落としたまま、やはり淡々と、且つ分かりにくい説明をする。

正直全然分からないけれど、聞き返すのも面倒くさいので、ただ

「はい。はい。」

と答えておく。



一通り説明したらしいところで岩瀬が初めて顔を上げ、

「分かりましたか?」

と私に訊いた。

「はい…」

と答える。

全然分からないけれど…



とりあえずこれで岩瀬からは離れられるけれど、ここにもう用はないことになる。



(先生と話したかったけど、無理だなぁ…)



私は岩瀬に

「ありがとうございました。」

と頭を下げ、ドアの方を向きかけた。

すると岩瀬が



「では私は職員室に戻りますので、貴女、一緒に行きましょう。」



と言った。



(うわ、途中まで岩瀬と一緒か…)



今日はついてない。
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