星降る空で抱きしめて【上】~女子校英語教師と生徒の恋の場合
岩瀬がさっとプリント類を抱えてドアに手を掛け、私はその後に続こうとした。

その時、



「あ、南条、こないだの本どうした?読んだか?」



と、不意に先生が私を呼び止めた。

いつになくキリッとした先生の声と眼差し。



「あ、はい。あの…半分くらい。」

「ちょっと時間あったら話聞かせてくれない?」

「はい!大丈夫です!」



私がそう答えると、岩瀬が

「じゃあ先に行きますので。」

と部屋を出ていった。



岩瀬の足音が遠ざかっていく。

私は

「はぁーっ!」

と大きく息を吐いた。

それを見て先生が堪えきれないように笑う。



「なぁ、さっきの岩瀬先生の説明分かったか?」

「全っ然!」

私がかぶりを振ると、先生はまたぷっと吹き出した。

「分かんなそうな顔して頷いてんなと思ったらやっぱりだ。

ちょっと見せてみ?」

先生は可笑しそうに手招きをする。
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