星降る空で抱きしめて【上】~女子校英語教師と生徒の恋の場合
先生は私の顔を覗き込んで、またふふっと笑った。

栗色の髪の間から見える綺麗な瞳に胸がドキンと鳴る。

何か言わないとますます赤くなってしまいそうで、慌てて話題を探す。



「あっ!先生、本の件は…」

「あぁ。別にいいよ、ただの助け舟だから。」

「え?」

「岩瀬先生と一緒は南条キツいだろ?」



あ、バレてる…

私はえへへと笑って見せた。

先生が再び微笑む。



先生はやっぱり優しい。

私のことなんかもよく見ててくれて、気付いてくれる。



でも。



そんな先生のデスクは膨大な問題集や構文集、辞書、それに画面にぎっしり字の詰め込まれたおそらくプリントを作っているとおぼしきノートパソコン、そんなもので埋め尽くされている。

忙しいなか、邪魔しに来てしまったようでなんだか申し訳なくなる。



「先生、忙しそう。」

「あぁ、今ちょっとな。夕方までには片付けたいと思ってんだけど…。」

「あ、じゃあ…」



夕方もう一度来てもいいですか?と訊こうと思った時、



「南条、夕方もっかい来てもらえる?」



「!」



先生の方から呼ばれてしまった。

私の顔を窺うように少し顔を傾けてこちらに視線を投げる先生。

胸がトクトクと波打つ。



「はいっ!」



(先生とおんなじこと考えちゃった!)



今の私、多分最高に幸せそうな顔してると思う。

     *  *  *
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