星降る空で抱きしめて【上】~女子校英語教師と生徒の恋の場合
やがて先生のキーボードを打つ手が止まる。

しばらくの間の後、先生は素早くマウスを操作して、

「よし、終わった。」

と言った。



「待たせてごめんな。」

先生の優しげな視線が真っ直ぐ私に向く。



「うぅん!全然!」



だって今は、今だけは。



私だけの先生─



「一昨日はどうだった?

何か進路に役立ちそうなことあったか?」

「あ、うん。

なんか突き詰めて考えるのとか好きだな、とか…

ちょっと好きなことの方向とか、見つかりそうな気がする。」

「そっか。良かったな。」

先生が眼を細めて白い歯を見せ、心底嬉しそうに笑う。

自分のことみたいに。



「とにかく好きなこと見つかるのが一番の目的だからな。

将来どんな職業に就くかとかはオプションみたいなものだから。
夢は変わっていいと思うし。

実際俺もそうだし。」

先生が言う。



「え…?」



先生、もともと先生になりたかったんじゃないの…?
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