キミノテノヒラノウエ。
ホームで伸びをし先を歩く薫ちゃんを急ぎ足で追いかける。

「いいところね。海の匂いがする。」と商店街を横目に見ながら、
海に向かってゆっくりなだらかな下り坂を行くと、5分もしないで、横道に入る。

綺麗なマンションだ。

「海が見える?」と聞くと、

「まあね。」と薫ちゃんは振り向いて手招きする。
私が跳ねるように付いて行くと、
マンションの入り口のドアをカードキーで開けた。

広いロビー。
受付にはお姉さんが座って微笑んでいる。

結構高級?
私は少し足が止まる。

薫ちゃんの部屋。

「大丈夫。安心しな。取って食うつもりはないよ。」と薫ちゃんがくすんと微笑む。

いや、
別に薫ちゃんが怖いわけじゃないし。
と思い直し。

「別にそんな事は考えてないもん。」と言いながら、
薫ちゃんが開けたエレベーターに乗り込んだ。
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